引越しお役立ち情報

引越し業者が運べないもの

拒否する作業員男性 バツマークとスタッフ

さあ!引越しだ。
片っ端からトラックに載せて、全部持って行ってもらおう。パッパッと済ませてしまおう。
とは言っても引越し業者がすべてを引き受けてくれるとは限りません。
「約款」により引越し業者が輸送を拒否することもできるのです。
は?約款?輸送を拒否?なんじゃそれ?

というわけでご説明します。

目次

「約款」の存在

約款の文字と虫眼鏡

約款とは正式名称を「標準引越運送約款」といい、引越し業者と消費者間のトラブル防止を目的として1990(平成2)年11月に国土交通省(当時は運輸省)から告示されたものです。
ここでは引越しにおける一連の事項を取り扱っていて、見積書の記載内容やキャンセル時の手数料(キャンセル料)、引越し作業の際の事故による損害賠償制度などを取り決めています。
多くの引越し業者はこの「標準引越運送約款」を取り入れています。一部の業者はこの約款を踏襲して独自の約款を運用していますが、いずれにせよ「標準引越運送約款」が引越し業者の基礎となっているわけです。

引受の拒絶

拒否する作業員男性 バツマークとスタッフ

この「標準引越運送約款」の第三章に「運送の引受け」という項目があり、ここで引受拒絶(運べないもの)の規定があります。
いくつかの項目に分かれて規定されていますので、次よりご説明します。

貴重品

現金・貴金属

ダイヤの指輪とお金

現金はもちろん、宝石や貴金属、有価証券(株券など)、預金通帳や印鑑、キャッシュカードなどがこれに該当します。
理由はズバリ。『紛失時に対応できない』からです。もちろん、紛失ありきの話ではありません。万が一の話です。
ちなみにダンボールに忍ばせて貴重品が入っていることを申告しないまま預けてその荷物が紛失した場合、業者の責任は問われません。
もっとも申告しても断られる可能性が高いですが・・・
いずれにしても現金や貴金属類はご自身で持ち運ぶのが得策です。手に余る量なら警備保障会社などに依頼するといいでしょう。
また鍵や身の回りのものなど小さいもの、引越し先ですぐに使うものなども手荷物として持ち歩くといざというときにすぐ対応できるでしょう。

美術品・骨董品

立てかけたいくつかの絵と高齢女性の手

古い話になりますが、1974(昭和49)年のモナ・リザの絵画、1965(昭和40)年のツタンカーメンの黄金のマスクの日本での展示をご存じでしょうか?あるいはご記憶に残っていますか?
展示会場へ運ばれてきたときの光景、それはそれは物々しいものでした。
これらの例えは大袈裟すぎますが、絵画や陶芸品、骨董品などは梱包や配送に並々ならぬ注意が必要とされます。
万が一破損・汚損が発生した場合、非常に多額の賠償金が発生するので通常、引越し業者は引き受けを断ります。
ケースに入った日本人形も繊細な人形本体にガラスケースと、取り扱いが困難なため業者も敬遠する傾向にあります。
美術品や骨董品の配送については大手の運送会社数社で美術品専門の部署があるそうです。そちらに依頼することをお勧めします。

破損・汚損の恐れがあるもの

危険物

石油ストーブ

火薬類やガスボンベなど、輸送中の振動や摩擦で発火する可能性のあるものもトラックに載せることはできません。
同様に薬品類も振動のはずみで容器が割れて中身が漏れ、車内の積載物やトラック本体に影響を与えることが考えられるので、車載を拒否されることが一般的です。

見落としやすいものをひとつ。
寒い時期には大活躍の石油ストーブ。うっかりタンクに灯油が残ったままだと運んではくれません。とくに冬場の引越しだと直前まで使っていて、そのままトラックに載せてしまうということもあるでしょう。
タンクに灯油が入ったままですと、輸送時の振動で灯油があふれ出す可能性があります。このため灯油が入ったままのストーブは運べないのです。
なお、灯油をポリタンクに移してストーブのタンクが空っぽとなった状態ですと運ぶことはできます。ただし中身を移した先のポリタンクは運ぶことができません。
また、たとえ引越しの途中であってもこのような危険物が積まれていると判明すれば、その時点で業者は運搬を拒否できるというルールがあります。ご注意ください。

汚れやすい・においが移るもの

テーブルに並べられた調味料

引越しでは通常、荷台に屋根の付いたトラック(箱型トラック)を使用します。
そのトラックで1日に3~4件の引越し作業を担います。そのトラックの荷台が汚れると引越しの品物を載せることができなくなります。つまり引越しの作業に支障が出るわけです。
前述した薬品類がこれに該当します。

ご家庭の調味料もそのひとつです。しょうゆや酢などの容器が破損して中身がこぼれると車内の荷物だけではなく、トラックの荷台も汚れてしまいます。
引越し業者がトラックの荷台を開けたら中が汚かった。ヘンなにおいがした。お客様からすればそんな汚いトラックに自身の私物を預けたいとは思いません。クレームにも発展しかねません。
となると、庫内が完全に乾くまでそのトラックは使用できません。においが付くものはさらににおいが取れるまで使用禁止となります。
このことから、調味料をはじめとした液体や食品の輸送は断られると考えていた方が良いでしょう。料理好きの方、調味料を多種お持ちの方はご注意ください。

生物・植物

動物

ケージの中のうさぎ

犬・猫などのペット類は「生き物」ということで運搬することができません。動物は移動中の健康リスクがあり、それゆえに特別な管理が必要となります。
暗い庫内に入ったままでの移動、しかも不規則に発生する振動と雑音は動物に多大なストレスを与えます。
動物の健康、あるいは生命への危険があるため「標準引越運送約款」でも業者が引き受けを拒否することができる品目として指定されています。

植物

観葉植物

観葉植物は大きいものになると人間の背丈ほどにもなります。
輸送中の振動や圧迫などで枝が折れてしまうこともあります。
また植木鉢やプランターを輸送すると土がこぼれ落ちたりする可能性もあります。
さらに植木鉢はテラコッタ(素焼き)や陶器など、焼き物が多くあります。こぼれ落ちる土の問題のほか、鉢の破損が考えられます。
このような理由から「標準引越運送約款」で引き受け拒絶が可能な品目となっています。
ただし小さめな植木鉢や植物はダンボールに入れて運搬できることもあるので、事前に引越し業者に確認してみるといいでしょう。

楽器

ピアノとチェロとコントラバスとハープ

「標準引越運送約款」ではピアノも引き受けを拒絶できるとしています。この当時ピアノ専門の業者はまだ少なく、特殊な管理を要するピアノはほかの荷物といっしょに運送するには適さないとされていたからです。
そもそもグランドピアノは大型で重いため積載可能なトラックも限られていました。
現在ではピアノ・楽器専門の業者も増えているため、ピアノを自社で運搬しようという引越し業者もあまりありません。
引越し業者がピアノの運搬を請け負ったとしても提携のピアノ業者に委託することがほとんどです。
ピアノはデリケートな楽器で、輸送のみならず搬出・搬入のトラブルや振動による音程の狂いなどのリスクを含んでいるため、専門の業者に最初から依頼する方が良いでしょう。コントラバスなどの大型楽器も同様です。
ギター・ベース・キーボードといった比較的小型の楽器類なら他の荷物といっしょに運ぶことができますが、これもケースに入れておくのが無難でしょう。

申告のないもの

秘密のジェスチャーをする女性

ここまでの話で、「面倒くさい」「黙ってればわからないだろう」という気持ちになるかもしれません。
正直、よくわかります。
しかし、申告がなかったために後々トラブルに発展するケースも少なくありません。
例えばパソコンなどの精密機器。運送時の振動によって外見上何の問題がなくても内部に故障が発生していたということもよくあります。
または食品類。冷凍食品をそのままダンボールに詰め込んだため運搬中に溶けてダンボールを破損させてしまったり、車内をに濡らしてしまったりすることがあります。
精肉・魚・野菜などの生鮮食品では長距離の移動中に傷んでしまい庫内で汚れや悪臭を発生させたりします。

お客様からの申告がある場合は引越し業者が必要に応じて梱包状況を確認することが可能です。もちろんお客様のご同意のうえです。
しかしながら確認の同意を求めると拒否される方もいらっしゃいます。
そうなると品物の安全性を保証できないため、引き受けを拒絶することがあります。
万が一の際に責任の所在を明確にするため、ご協力をお願いします。

その他

DIYで作る棚

「標準引越運送約款」には具体的には記されていませんが、近年よく言われているものが有機ELテレビです。
有機ELテレビは液晶テレビに比べて画質も良く、大画面でも大画面でも軽量でしかも画面が薄い。画面の厚さはミリ単位というシロモノです。
ところがこの画面の薄さが仇となり、持ち上げた際の指圧でも画面が割れてしまうそうです。
このため引越し業者からすると、拒絶はしないまでも引き受けたくないものとなります。
ちなみに購入時梱包されていた外箱に入れるとどこの業者も受け入れてもらえます。なので買った時の外箱は取っておきましょう。

もうひとつ、これは地味に有名なものですが、IKEAの家具は引越し業者に嫌がられる可能性大です。
IKEAの家具はほとんどが組み立て式で、しかも大型のものが多いです。
購入して自宅で組み立てるとデカい家具が出来上がり、今度は外に出せなくなります。
つまりIKEAの家具は引越しを前提としていないのです。
ならば解体して運び出せば良いとなりますが、これがまた落とし穴。
IKEAの家具は木ネジが使用されています。これを一度解体するとネジ穴が広がってしまって再度組み立てたときに強度が落ちてしまったり、最悪壊れてしまうこともあります。
このようなリスクを抱えて受託したがる業者はそうそういません。引越し時には処分することも検討しておいた方が良いでしょう。



以上、いろいろと書いてきましたが、いかがでしょうか。



弊社、引越しと不用品回収の「きりり」ではお問い合わせをいただいたお客様のご自宅にお伺いして品物を拝見しながら、無料のお見積りを行います。
その際に全体の荷量の把握、輸送NG荷物の有無を確認しながら料金の算出をして見積書をお渡しします。
この見積書をご覧になってご検討ください。

同時にお客様からのご質問やご相談もお受けしています。引越しに関すること、なんでもお聞きください。

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